米国における国防軍の将校、士官養成の多様性

 
境港市で生を受け、米国人と結婚した女性の血を受継いだ米国人の青年Allex Uzzell (以下アレックスと呼ぶ) の通うノースカロライナ州のアパラチアン州立大学の卒業式が去る513日に行われた。 続いて行われたROTC(予備将校訓練課程)履修者(将校候補生)に対する陸(海、空軍、海兵隊)少尉任官式に夫妻で参加したアレックスの祖父母に当たる梅谷陽治夫妻から受け賜った事柄を紹介しよう。

              
                                    陸軍少尉 任官式

                     
                          祖父、梅谷陽治 アレックス少尉

同夫妻は大講堂で行われた少尉任官式の場で、「アレックスの祖父母が日本から参加された」とのアナウンスで壇上に上がり、大講堂を埋め尽くした候補生の家族、縁者全員からの万雷の拍手、喝采を浴び、感涙にむせんだと話された。

 アレックスは去る二年前、境港の実家に帰省中、台場公園で行われた「第87回 美保関沖事件殉職者慰霊塔追悼・参拝式」に母親と共に参列し、境港ウインドアンサンブル楽団の演奏する「海ゆかば」や鎮魂歌「葦と蕨の殉難の歌」を聴聞して痛く感激し、式後、喫茶「クロ」でその思いを筆者に語ってくれたのだった。 また敷島の大和心や葉隠れの武士道の精神についても見事な見識を持っており、母親のご薫陶の賜物と感じたのだった。

                   
        境港市 海とくらしの資料館で行われた「美保関沖事件第85回追悼参拝式」に母と共に参加した「アレックス君


               
        喫茶「クロ」にて「追悼参拝参加の感激に」について語る       アレックス 幼少時のスナップ

 ROTC(予備将校訓練課程)とは1868年に制定された「モリル・ランドクラント法」の適用を受け、広大な敷地を備えた多くの州立大学や私立大学内に設置され、大学入学試験合格者の多数の希望者の中から選抜され、大学構内の一画に設けられたROTC地区内の宿舎に居住し、4年間の大学における専攻科目の履修に加え、軍の将校、士官としての知識、技能、精神力、指導力を身に着けるため、戦略、戦術論、軍事史、各種術科、士官心理、地形慣熟学、軍事統計学、軍事会議論などを学ぶ。また実技訓練、演習に参加するなど厳しい学生生活を耐え抜かなければならない(10-20パーセントの脱略者が出る) 全員、学費の全額支給に加え、奨学金数百ドルを受領し、大学卒業資格 (学士号)の取得を前提に、初級将校 (少尉)に任官し、所定に期間、軍務に服する義務を負うのである。

 米国の大学生の多くがROTCに入る主な動機は、国家に対する忠誠は勿論として、先端電子技術、航空宇宙技術、情報(インテリジェンス)等の道に進むため、奨学金を受けながら学位を取得する事、および頑強な肉体と強固な精神力を養うためと言われる。彼等は経済、科学、軍備を含む国家の強靭化を望み、そして世界の紛争解決、グローバルな恒久平和に大きな夢と決意を持っているのだ。 アレックスは希望の軍事インテリジェンス将校として勇躍、新任地に赴任した。パナマ侵攻や湾岸戦争で名声を浴びた在米ジャマイカ2世の陸軍大将、コリン・パウエル統合参謀本部議長ROTC出身である。

 

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